
青山美智子(著)『木曜日にはココアを』宝島社文庫
見るからに優しい雰囲気を醸し出している表紙に一目惚れし、久しぶりのジャケ買い。
この本は青山美智子さんのデビュー作となる小説で、タイトル通りの「木曜日にはココアを」を含む12本の短編物語が1冊にまとめられた作品になっています。
物語の舞台は、川沿いにたたずむ「マーブル・カフェ」。
この「マーブル・カフェ」を起点に、バラバラだったはずの物語は徐々に繋がりを見せ始めます。
読むごとに明らかになっていく事実。
散りばめられた12ピースの物語が1枚の絵柄を完成させる時…。
読み終わったあとには、この上なく温かい気持ちにさせてもらいました。
別の言い方をすれば、「またひとつ、大好きな小説が増えたなぁ…」という気持ちです。
数年前まで、ビジネス書をはじめとした実用的な本ばかりを読み漁り、「小説は読まないの?」という誰かからの親切な問いに
「小説なんて読む意味が分からない!」
と自信ありげに言い放っていた過去の自分に伝えたい。
読書の価値は、決して「意味」だけで量られるものではないんだと。
蓋を開けると、こんなにも温かい世界が広がっているんだぞ、と。
表紙を見た時に思い描いた「優しさ」を、そこから勝手に期待してしまった「優しさ」を、決して裏切ることのない優しい物語がそこにはありました。
ココアのように、芯まで温まる作品でした。。。
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