
山内健司(著)『寝苦しい夜の猫』扶桑社
普段からかまいたちさんのネタが好きで、どんなことが書かれているか気になったので購入。
この本は、山内さんが飼っている「にゃんじ」という猫がご主人について語るという設定のもと、
山内さんの生い立ちからNSC時代、そしてかまいたち結成に至るまで、芸人「山内健司」に関するありとあらゆることを知ることができる本になっています。
冒頭でお伝えしたように僕はかまいたちさんのネタが好きで、気分が下がった時には毎回見て元気をもらっているのですが、
(ちなみに特に好きなのは「過去に戻ってポイントカード作るやつ」と「トトロ見たことない」です。山内さんがおかしなこと言い出したかと思えば、徐々に濱家さんの方がおかしく思えてくるあの感じがたまりません…。)
逆に言うと「ネタ」という表面的な部分しか知らず、どういった経緯や想いで活動してこられたのかについては知りませんでした。
なので、実は濱家さんの方がNSC在籍時の成績が圧倒的に優秀だった話や、かまいたちとしてのネタ作りの様子など興味深い話がたくさんあって、
何日かかけて読もうと思っていたのに1日で読み切ってしまいました。
とはいえ、おもしろ話だけが書かれているのかというと、そうではありません。
特に印象的だったのが、こちらです。
僕は普段から、「あ、おもろい」ということを見たときとか浮かんだときは、即座にスマホのメモ欄に覚え書きをしている。
本書p.169より引用
これ、当たり前と言ってしまえばそれまでなのかもしれませんが、裏でそういう抜け目のない努力をされているんだ、ということに僕はすごく力を貰いました。
裏側を知れたことで、表側の「ネタ」の受け取り方により一層深みが増した気がします。
そんな感じで、一言でまとめると
テレビだけでは見ることのできない姿を感じ取れる本でした。
ただ一点だけ…
少し気になるところがありました。
それは、「○○だが」という言葉がやたら登場してくるところです。
たとえばこの文章。
前にも説明したが、コントはどちらかというと、お互いにあんまり素じゃないというか、コントの設定に入ってネタをやるのだが、漫才はなるべくキャラに入らずにいく。
本書p.166より引用
たぶんこれは山内さんのクセだと思うのですが、前後の文脈から考えて「○○だけど」で良さそうなところが必要以上に「○○だが」になっていることで、
会話しながら読んでいるようなテンポの中に急に文学調が入ってきたように感じ、慣れるのに少し時間がかかってしまいました。
ただここはプロの編集者さんも入った文章に素人が口を挟むなよって話ですし、ネットのレビューを見ても気にしてる人はいなさそうだったので、僕が気にしすぎだと思うのだが、
↑ほら。ここに感じた違和感。分かりますかね。くどいですよねスミマセン。
こんなこと本当は書かなくて良いのかも知れませんが、もう少し各所で接続詞のバランスが取れていると、より早い段階で話に入り込めたかなぁ…という自分の心に嘘はつけませんでした。(本を否定しているわけではありません。くれぐれも。)
内容はさすが芸人さんといったところで、読んでいてついつい吹き出してしまった場面がいくつもありました。
あと、本文中に劇場のお話がたくさん出てきたので、今度実際に生でネタを見にいってみたいと思いました。(^^)
というわけで長くなってしまいましたが、
・かまいたちさんが好きな方
・お笑いそのものが好きな方
には間違いなくオススメできる本でした。ちょくちょく登場する猫たちにも癒されます。
p.s.
この本を読んで、NSCがNew Star Creation(ニュースタークリエーション)の略であることを初めて知りました(笑)。
↓かまいたちさんのYouTubeチャンネルでこの本について話されている回があったので添付しておきます。この動画も面白かったです。
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