※こちらは、未読の方を想定した【ネタバレなし】の感想です。
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凪良ゆう(著)『滅びの前のシャングリラ』中央公論新社 ☆ネタバレなし
2020年の本屋大賞を受賞した前作『流浪の月』が個人的にすごく好きだったのと、2021年の本屋大賞にノミネートされたことから購入。
「一ヶ月後、小惑星が衝突し、地球は滅びる」
帯に書かれたこの言葉を最初に見た時、あまりに壮大な設定に衝撃を受けました。
どんなものだろう。と衝撃そのままに表紙をめくると、さらなる衝撃が待ち受けます。
江那友樹、十七歳、クラスメイトを殺した。
本書p.7より引用
どう考えても明るい物語ではないと確信させられる文章で物語は幕を開けます。
そう。この作品は、これらの設定を根底に据えた上で「全国民が等しく余命宣告を受けたあとの世界」を描いているのです。
前作『流浪の月』が「儚くもどこかあたたかい物語」という印象だっただけに、救いようのない残酷さが描かれた本作の世界観には驚かされました。
「どうせ死ぬのだから」という前提を全国民が共有した上で繰り広げられる世界、街並み、登場人物のやりとり…。
およそ誰も体験したことのない世界を、それでも言葉で表現し切っているところはさすが凪良ゆうさんといった印象でした。
ネタバレ回避のためその後の展開については言及しませんが、結末を迎えた後には改めて「生きる」ということについて考えさせられた作品でした。
あまりに壮大すぎるテーマと衝撃の設定から、読んでいる最中こそファンタジーとしてしか捉えていませんでしたが
読後、妙にリアリティを伴った文章表現が現実の世界を照らし出し、後からジワジワと鳥肌が立つ作品でもありました。
気になる方はぜひ一度読んでみて下さい。
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【感想/書評】凪良ゆう(著)『滅びの前のシャングリラ』★ネタバレあり
ネタバレ回避のためにここでは書けなかったことを書いています。
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