
岸田奈美(著)『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』小学館
岸田さんが書いた文章をネットで1,2回拝見したことがあり、このたび初書籍が出るということで購入。
この本は、毎回数万いいねを集めるnoteでの大人気連載が書籍化されたもので、自身とその家族のことを綴った自伝的エッセイとなっている。
余分な前置きは省き、結論から言わせて頂く。
「岸田さんが書いた文章をネットで1,2回拝見」しかしていなかったことを悔やんだ。
なぜ今までこんな素晴らしい文章をスクロールしちゃってたんだろう。
書籍としてしっかりと向き合う中で気が付いた。面白すぎる、この本。
「面白い」という表現は気軽に使えて便利な一方で、こうして感想を語る上ではややオールマイティすぎる。
ここを紐解く解釈として、よく「面白い」には「funny」と「interesting」があると言われる。
つまり、読んでいるだけで自然とニヤけてしまうようなお笑い的な面白さ(funny)と、ついつい「へぇ〜」と言いたくなる知的な面白さ(interesting)だ。
芸人さんが書く文章なんかには、たいていこの両方が含まれている。
では、岸田さんの書く文章はどうか。
もったいぶる必要もないので言っておくと、間違いなくこの両方は含まれていた。
ただ。
そこにもうひとつ、「love」も含まれている気がした。
言っていることの意味が分からないと思うので、ここで一旦著者のプロフィールを紹介しておく。
岸田さんには知的障害を持つ弟がいる。そして、車椅子生活を送る母親がいる。そして、父親は中学生のとき急逝した。
そう。彼女にはお世辞にも恵まれているとは言えない環境で過ごしてきたという側面がある。
ただ、「お世辞にも恵まれているとは言えない」などというのは、どうやら第三者が勝手に作り上げた虚像のようだ。
あらゆる困難と向き合い、誰よりも全力で今を生きる、最高に温かい家族の姿がそこには描かれていた。そう確信させてくれる文章とともに。
そういう意味での「love」である。
この辺りをうまく伝えるには僕の中にある全ての語彙力と文章力を総動員させても限界があるので、気になった方は是非読んでみてほしい。
まとめると、「面白く」て「面白く」て「面白い」のがこの本であった。
もし仮にこの本が面白くなかったという人がいれば、申し訳ないが僕はその人とは分かり合えない。
人の価値観はそれぞれだから、わざわざすり合わせる必要もないだろう。
そんなぶっきらぼうな言い方をしたくなるほど、自信をもってオススメできる本だった。
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