※未読の方を想定した【ネタバレなし】の感想になります。既にお読みの方は、こちらのネタバレあり版にお進み下さい。

伊吹有喜(著)『犬がいた季節』双葉社 ☆ネタバレなし
2021年本屋大賞ノミネート作品ということで購入。
一匹の犬がとある高校に迷い込んだところから物語は始まります。
時代は昭和63年。
そこから平成、令和へと時代が繋がっていく中で、犬と共に過ごす高校生たちの姿が描かれています。
3年というある種制限された時間の中で日々を過ごす少年・少女たち。
それを側から、ときには中心から見つめる一匹の犬。
出会いの温かさや別れの切なさ、青春の甘酸っぱさが丁寧に詰め込まれた作品でした。
表紙の帯に、
「ページをめくれば、18歳のあなたがいる」
というキャッチコピーが書かれているのですが、これほど秀逸にこの作品を言い表した言葉はありません。
読んでいると18歳のあの頃に戻りたくなるような、胸が熱くなるような、どこか懐かしさを感じるような、
とにかく温かい気持ちになることのできた作品でした。
ご自身の青春時代に想いを馳せながらホッコリしたい方には強くオススメできる作品です。
またこの作品は、
昭和から令和にかけて実際に世の中で起きた出来事が忠実に描かれるなど、ノンフィクションの色が強いことも特徴的でした。
なんと、タイトルになっている「犬」も、その犬が迷い込んだ高校も実際に存在するのだそうです。
(ちなみに三重県の四日市高校という高校がそのモデルになっており、著者の伊吹さんも同校出身なのだとか。)
↓こちらで詳しく解説されています
決してファンタジーなんかじゃない、本当にそこにあった姿が描かれているからこそ、こんなにも深い哀愁を感じるのだなぁ…と納得させられました。
懐かしさの中に温かさを感じたい方、そして犬が好きな方なんかにもオススメです。
(余談ですが表紙カバーの下にある仕掛けが施されているので、もしこれから買われる方はぜひ読んだ後に外してみて下さい。
これは文庫化されてからでは味わえないものなので、個人的には単行本として持っておかれることをオススメします。)
読み終わったらぜひこちらで感想を教えてくださいねー(^ ^)
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