【感想/書評】深緑野分(著)『この本を盗む者は』★ネタバレあり〜ラストを考察〜

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※内容にも言及した【ネタバレあり】の感想です。既にお読みの方、内容を知っても構わないという方のみお進み下さい。

まだ読んでいない方は、こちらのネタバレなし版をどうぞ。

この本を盗む者は表紙

深緑野分(著)『この本を盗む者は』角川書店 ★ネタバレあり

さて。

読長町という、本にまみれた町が舞台となるお話でしたが

僕の感想を一言でいうと

「よく分からない世界に連れて行かれたな」

といったところです。

他の本屋大賞ノミネート作品と比べて、読むのに体力を使いました。

その原因を考えてみると、やはりこの本が今まで出会ったことのないジャンルだったことが一番大きいです。

これがキッパリとミステリーだったら、どう展開するかはさておき、もっとすんなり受け入れられたと思います。

あるいは、もっとキッパリとSF小説だとしたら、そういうものだと割り切れていたと思います。

この作品はそのちょうど中間をなぞったというか、もしかしたら中間を飛び越えて枠外を開拓したような印象を受ける作品でした。

皆さんは、どうだったでしょうか?

あやふやなジャンルだったけれど、それでもどうにかこの作品を解釈したいと思い、色々とネットのレビューや読者の解釈などを漁りました。

そして、その中で特にこれはというサイトを2つ見つけましたので、今回はそちらを参照しながら書いていきたいと思います。

僕と同じく物語の闇に放り込まれ、色々検索しているうちにこのサイトに辿り着いた方がいたら、ぜひ一緒に理解を深めていけたら嬉しいです。

まずは多くの方が一番印象に残っているであろうラストの解釈について。

はっきりと明かされるでもなく、かといって物凄くあやふやにされるでもないラストの表現。

深冬のもとに真白が帰ってきた?

でもブック・カースは解けたはず…

ん?どういうこと?

と多くの方が惑わされたはずです。

以下、あくまで個人的な推測ですが、

この部分を解釈していく上で重要になるのが、336ページに書かれている文章です。

ここに書かれいる文章は、その全てが伏線のように思えるので気になる方はもう一度読み返してほしいのですが、強いて言うならこの部分。

あの冒険、魔法のかかった世界を駆け回った経験が、どうにも恋しい。もう一度ああいうことをしたいと心の底から願っている自分に気づいた時、なぜ父が抵抗の意志を抱きつつもブック・カースをそのままにし続けたのか、理解できたように思った。

本書p.336より引用

最初こそ物語に抵抗を見せていた深冬ですが、いざ失ってみるとそれが恋しくなっています。

これが、解釈していく上で重要になる部分です。

ただ、じゃあそれが分かったとしてラストの真白をどう捉える?という話ですが、

この部分が、先述した2つのうち1つ目のサイトに分かりやすく書かれていました。↓

https://kinakonuko.com/2021/01/24/本の世界に魅せられて!真白とひるねは何者?ラ/

この記事の後半で紹介されている解釈(2つ紹介されているうちのひとつ目)が今のところ僕の中で一番しっくり来ています。

「なるほどそういうことか」と、モヤモヤしていたものがスッキリすると思います。

そしてもうひとつ、この作品を捉える上で役立ったのがこちらのサイト。

深緑野分さんのインタビューが掲載されている記事で、作者ご自身の解釈が伺えます。

呪いがかかったから、私は今、本を書いている 『この本を盗む者は』深緑野分インタビュー | カドブン
直木賞候補となった『戦場のコックたち』『ベルリンは晴れているか』において、「歴史」と「ミステリー」のかつてない融合に成功した、深緑野分。2年ぶりとなる待望の新刊『この本を盗む者は』では、これまでと全く異なる作風に挑戦している。古今東西の文学作品を参照しつつ、スタジオジブリなど日本のアニメーションの息吹を思いきり吹き込ん...

たとえば、こんな感じ。

ラブストーリーとかミステリーって、ジャンルとしてはメジャーなので、親しみがある。もうちょっとマイナーな、今はあまり親しまれていないジャンルを取り上げて、こういうものもあるよって伝えられたらなと思ったんです。

カドブン:深緑野分インタビューより引用

まさにこの記事の冒頭でもお伝えしたところで、作者の思惑通り「こういうのもあるよ」って思わされました…。

そして最も印象的だったのはこの部分でした。

読者の方が、いい意味で混乱してくれると作家冥利に尽きますね。

ただ、読んでいる間だけでも現実逃避してもらえたら、一番いいのかなと思っているんです。

コロナのせいで社会がピリピリしている中で、少しでも緊張が緩むというか、不安とか心配を一瞬でも手放す機会があるというのは、大事なことなんじゃないかなって……。

カドブン:深緑野分インタビューより引用

「なるほど…」と思わされました。

ここまで、ラストの解釈など色々と書いてきましたが、結局は一番はじめに思っていたように

「なんだか不思議な世界に連れて行かれたな」

という、

読長町での体験そのものを、ドキドキハラハラさせられたあの体験をそのまま心の中にしまっておけばいいのかな、と思わされました。

ということで、作品ご自身がこう仰っているのですから、これ以上あれこれ言うのはやめにしてこの記事もそろそろ終わりにしたいと思います。

もしよろしければ、皆様の感想も教えて頂けたら嬉しいです。

ではでは、最後までお付き合い頂きましてありがとうございました。

↓カドブン『この本を盗む者は』特設サイト

深緑野分『この本を盗む者は』特設サイト | カドブン
「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」物語に呑み込まれていく町を救うため少女たちは本の世界を冒険する 深緑野分『この本を盗む者は』特設サイト

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