※未読の方を想定した【ネタバレなし】の感想になります。既にお読みの方は、こちらのネタバレあり版へお進み下さい。

伊与原新(著)『八月の銀の雪』 新潮社 ☆ネタバレなし
2021年本屋大賞ノミネート作ということで、購入。
辺り一面に銀世界が広がる真っ白な表紙と「雪」というワードから、
北海道や東北地方、もしくは日本海沿岸を舞台にした物語なのかな?などと最初は思いましたが、
改めてタイトル全てを見てみると、大きく矛盾していることに気付かされます。
「どういうことだ?」という疑問を持ちながら読み進めていったのですが、序盤でいきなりその答えが出てきました。
ネタバレ回避のため真相は作品の中に譲りますが、これだけは先に言っておいてもいいかなと感じたのは、
・この作品が長編ではなく短編集であること
・それぞれの物語は特に繋がりを見せないこと
の2点です。
ここは好き嫌いが分かれるところだと思いますし、最初から分かっていた方が作品に入りやすいと感じたので書かせて頂きました。
タイトル通りの「八月の銀の雪」を含む全5篇の物語が収録されており、そのすべてがどこか温かい気持ちにさせてくれるお話でした。
加えて、すべてが「地球」や「自然」といったテーマを扱ったお話になっており、
文系要素と理系要素が絶妙な距離感で混ざり合う特殊な読書体験ができた作品でもありました。
巻末には4ページにも及ぶ参考文献が記されていたり、著者の伊与原先生が東京大学大学院の理系学部出身だったりと、他の作品ではあまり見ることのない特徴を持っていて、
普段から読書をする方にとっては新たな読書体験になるでしょうし、
普段あまり文学作品は読まないけど、科学の話は好きという理系の方にも手に取りやすい一冊だと思います。
そういった意味で、双方にオススメできる作品でした。
読み終わったらぜひ、こちらで感想を教えてください^_^
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