【感想/書評】青山美智子(著)『お探し物は図書室まで』★ネタバレあり

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※内容にも言及した【ネタバレあり】の感想です。既にお読みの方、内容を知っても構わないという方のみお進み下さい。

まだお読みでない方はネタバレなし版をどうぞ。

お探し物は図書室まで表紙

青山美智子(著)『お探し物は図書室まで』ポプラ社 ★ネタバレあり

さて。

名物司書、小町さゆりさんを起点に繋がっていく物語でしたが、非常に温かい気持ちにさせてもらうことができた作品でした。

青山美智子さんの作品はどれもあまり身構えなくても読めると言いますか、小説初心者の僕でも分かるような優しいお話が展開されていくところがすごく好きです。

今作もラストの解釈が人によって分かれるだとか、受け取り方が千差万別ということも僕の目からはない作品に見えたので、

ネタバレ版と言いつつ大した考察もせず、ただただ読後の気持ちを書き残していこうと思います。

ちなみに僕はこの作品を読んで泣いてしまった箇所があったのですが、

それがこちらです。

母さんは封筒を受け取らず、黙って押し返してきた。そしてそのあと、花束に顔をくっつけるみたいにして、ぼろぼろと泣いた。

本書p.235より引用

浩弥くんがニートを卒業してコミュニティハウスで働いたお金をお母さんに渡そうとする場面です。

今まで何も言わなかったお母さんだけど、やっぱり心配してたんだなぁ…って。

僕も最近までニートを経験していたので、浩弥くんの気持ちがすごい分かると同時に、「自分も早くみんなを安心させられるようにならないとな」元気を貰った場面でもありました。

この作品には他にも、ズンと心に響いてくる言葉がたくさん登場します。

ぼくは普段あまり気に留めず小説を読んでいくタイプなのですが、今回はなんと7個もしるしをつけた場面がありました。

すべて引用していると長くなってしまうので、特にこれはというのをいくつか挙げていきます。

エデンの婦人服販売員が「たいした仕事じゃない」なんて、とんでもない間違いだった。単に私が「たいした仕事をしていない」だけなのだ。

本書p.44より引用

朋香が沼内さんに助けられた場面で登場した言葉です。

自分自身をどう思おうがその人の勝手だけれど、その窮屈な感情を周りの人へ向けるのは間違っているよな…と僕も普段から思います。

だけど、頭では分かっていてもどうしてもそこから抜け出せない自分がいるのも確かで、今回の朋香の言葉は自戒の意味も込めて心に響きました。

続いてこちら。

おもしろいわよね、それぞれが目の前にいる人のおしりだけを追いかけて、先頭もビリもないの。つまり、幸せに優劣も完成形もないってことよ

本書p.158より引用

みづえ先生が「ああ、崎谷さんもメリーゴーランドに乗ってるとこか」と言い出した場面で出てくる言葉です。

これも本当にそうだよなぁと思わされました。

自分自身が不幸せに感じていることって意外と他人からは幸せそうに見えてたりして、反対に自分から見れば幸せそうなことも相手にとってはどうか分からない。

それぞれが今ある現状を受け入れて、一歩ずつできることをしていくしか先に進む方法はないんだと。

それをメリーゴーランドという分かりやすい例えで表現したこの一連のくだりはこれからの人生でも大切にしたい言葉だと思いました。

最後に、ひとつ。

「でも、何かを始めるときにはそれが後から役に立つかどうかなんて、考えたことないですよ。ただ、心が動いたら、それだけでトライする理由になると思うんです」

本書p.283より引用

定年後の生き方に悩む正雄に対して海老川さんが言ったセリフです。

これも、何度も言いますが「本当にそうだよなぁ…」って。

特に先行きが分からない今の時代においては、自分がこれから進むべき道についてゴールから逆算して考えてしまいがちだけど、それって本質的にどうなのか。

いま楽しんでやれることじゃないと結局続かないし、利益だけに惹かれて自分の心に正直になれないなら本末転倒じゃないか、というのは僕自身普段から思っていることでした。

それを最も説得力のある海老川さんが言ってくれたことでホッとするものがありました。

余談ですが「海老川さん」というすごく特徴的なお名前なのに後半で再登場したときには忘れてしまっていて、「昔、骨董屋をやっていた」というお話が出たときにようやく「あのお店の店主か!」となり、もう一度序盤を読み返して鳥肌が立ちました。

この辺りが青山美智子さんの作品の醍醐味であり面白さですよね。

といったところで、長々と書いてしまったこの記事もそろそろ終わりにしたいと思います。

ちょうど人生に迷っている今の僕にとっては、この作品はズバズバと刺さる言葉が出てきて、ある意味で「自己啓発書」のような役割も果たしてくれた作品でした。

皆さんはどうだったでしょうか。

もし良ければ、下のコメント欄やTwitterで皆さんの感想も教えて頂ければと思います。

ではでは、最後までお読み頂きありがとうございました。


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