【感想/書評】伊坂幸太郎(著)『逆ソクラテス』★ネタバレあり

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※内容にも言及した【ネタバレあり】の感想です。既にお読みの方、内容を知っても構わないという方のみお進み下さい。

まだ読んでいない方はネタバレなし版へお進み下さいませ。

逆ソクラテス 表紙

伊坂幸太郎(著)『逆ソクラテス』 集英社 ★ネタバレあり

さて。

「逆ソクラテス」ってなんだ、?

という印象をまず最初に抱いた作品でしたが、

いきなりその意味が明らかになる構成に爽快感を感じたのは僕だけじゃないはず。

以降4篇とも同じく小学生が主人公となるお話が続きましたが、結果的には一番最初の「逆ソクラテス」が一番心に残る形となりました。

タイトルになっていたことから無意識に補正をかけてしまっていた部分があったのかもしれません。

久留米先生が草壁くんを暗にからかうような表現を「子どもたちの前で」行ってしまうのはもちろん、良いか悪いかで言えば悪いことだと思います。

でも、果たしてそれを単純に「悪」と断定できる資質が自分の中にあるのかということを突きつけられた気がしました。

以前から相当な恨みがあったなどの場合を除いて、誰だって最初は「どんな子にも等しく接しよう」と少なからず思っていたはずです。

(もしかしたらこれこそが先入観なのかもしれませんが…。「僕は、そうは思わない」という声がどこからか聞こえてきそうです。)

ただ、そこから時間を共にする中で、たとえば草壁くんみたいにどちらかと言えばなにをやってもうまくいかない子や、(別のお話の登場人物ですが)騎士人くんのようにあからさまな迷惑行為を行ってくる子、反対に何をやらせても凄く無難にこなせる子など、それぞれの「個性」のようなものがハッキリと表に出てきます。

これはなにも教師に限った話ではなく、たとえば部下を持つ中間管理職や、それ以外のすべての人間関係においても、むしろ大人の方が敏感に感じやすかったりする部分だと思います。

そして、これらの「個性」を一切排除した上で「平等に接する」というのは、実際には不可能であると僕は考えています。

話を教室に戻すと、テストの点数がいつも良い子とあまり良くない子がいた時に、それぞれに違った印象を持ってしまうのは仕方がないことだと。

むしろ、全く同じ印象を持つというのは全くの無関心であるということとほぼ同じだと言えるでしょう。

じゃあどうすれば良いのかというと、「それすらも受け入れること」だと僕は思っています。

誰しもがそういった先入観を持ってしまうこと、を受け入れた上で「ダメだダメだ、平等に接しなくては」と日々自分に問い続ける。

これ以外に対処法はないんじゃないかな、と一個人の見解としては考えています。

その意味で、「先入観」をテーマにしながらも、そしてそれを「敵」としながらも、それを完全に排除することを善としていない本作の表現にはリアリティを感じました。

たとえば、高城かれんと渋谷亜矢の一件において「磯憲」が残していたこの言葉。

「もし、高城がいじめられっ子だとしたら、何か変わるか?」

本書p.82,p.101より引用

先入観を持つことへ疑問を投げながらも、真っ向から否定するわけではない。

「先入観を持つことは悪いことだという先入観」に縛られていない、ちょうど良い距離感の言葉だと思いました。

そして、これらの言葉が他にもたくさん出てくる作品だからこそ、よりリアルさを感じられるようになっているんだなぁ…と。

一冊を通して、そんなことを考えた作品でした。

このままだと僕個人の見解を話すだけになってしまうので、少し作品に話を戻し「ネタバレあり」らしいことを書きます。

最後の最後、「逆ワシントン」に出てきた家電量販店の店員は駿介たちを襲った犯人でおそらく間違いないですよね。

ここは分かりやすい部分なので小説初心者の僕でも気付けたのですが、とはいえさすが小説初心者の僕。

冒頭でファインプレーをした野球選手が草壁くんだなんて考えもしませんでした。(鈍い…笑)

ネットで考察サイトを読んでもう一度冒頭を読み返し、ようやく草壁くんの活躍に気付くことができました。

ただ、とはいえここはまだ難易度低めと言いますか、気付いた人も多い部分だったと思います。

ネットの考察サイトではほかにも、

・草壁くんのファインプレーをテレビで見ていたのは久留米先生?

・草壁くんを映していた「買ったばかりの大画面テレビ」はラストの家電量販店と繋がる?

・「字が綺麗」な高城かれん、「書写の授業を手伝っていた」謙介の母は同一人物?

など興味深すぎる考察をされている方がいてびっくりしました。

念のため、リンクを貼っておきます。↓

【考察】伊坂幸太郎さんの「逆ソクラテス」~つながってるのか、つながってないのか、どっち!?~
こんにちは、ふみチッカです。伊坂幸太郎さんの小説『逆ソクラテス』を読みました。この本は5つの短編から構成されています。短編なので続き物ではありませんが、そこは伊坂さんの作品なので、「これはもしかしてお話同士がつながっているのでは??」と勝手

ただ、どれも先述の2つのように確信できる記述はないらしく、あくまで想像の範囲だということです。

これとは別に僕が個人的に気になったのは、

「久保先生が紙袋から出そうとしていたのは結局なんだったの?」ということと、

「逆ワシントン」ってどういう意味?逆ソクラテスはすぐ理解できたけど、逆ワシントン=正直でないを地で行く人は登場人物にいなかったはず?

の2つです。

もしかしたら先程と同じように明確な答えなんてそもそも用意されてないのかもしれませんが、

気になる部分ではあるので、もしこの記事を読んで下さっている方で「あ、それはね…」という方がいらしたら是非教えて頂きたいです!

その他にも、「こことここ、こんな風に繋がってるんじゃない?」みたいなのも絶賛募集中です!

ではでは、長くなってしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました!


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