【感想/書評】高村友也(著)『自作の小屋で暮らそう』

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自作の小屋で暮らそう表紙

高村友也(著)『自作の小屋で暮らそう Bライフの愉しみ』 ちくま文庫

先日投稿した『しないことリスト』(著:pha)の中で紹介されていたことをきっかけに購入。

この本はタイトルからおおよそ想像がつく通り、著者の高村さんが山の中に小屋を作り、そこで暮らす様子がまとめられた本になっています。

こういう「社会と距離を置いて暮らす」系の生き方に関心がある僕にとっては、もうこの時点で面白確定演出という感じがするのですが、

本というのは読みやすさあってのもの。

いくら興味があろうと、難しい文章では読む気になれません。

ということで実際に読んでみたのですが…

ひいきなしで読みやすく、そして面白い本でした。

高村さんが東京大学・慶應義塾大学院卒ということもあってか(ある意味ではこういうのも偏見かもしれないけれど)、

文章に無駄がなく、かといって簡素すぎない絶妙な構成でまったく堅苦しさを感じません。

そして、面白い。

なにが面白いって、こんなことしてる人ほかにいないでしょというところです。

普通に生きていたら知ることのなかったお話が、この本にはたくさん登場します。

例えばこんな感じ。

水は手に入れるより捨てる方が厄介かもしれない。川の水を汲んで家で使っても特にお咎めはないだろうが、家で捨てた水をその辺に捨てたらアウトだ。

本書p.68より引用

世の中には下水道条例というものがあって、

「家庭内から出る水はすべて、下水管か浄化槽を通さないといけない」

という、

水が通っていない山小屋とは相性が悪すぎるルールが存在するそうです。笑

このピンチを高村さんはどう切り抜けるのか。

ほかにも電気の供給はどうするのか、真冬の寒さはどうやってしのぐのか、などなど

続きは本の中に譲りますが、あげていけばキリがないほどの希少なお話が展開されます。

そして、そもそもこれは小屋が建ったあとのお話ですが、建つまでがまた面白いんです。

「骨組みは木でいいとして、壁は何で作ろうか?ダンボールか?いや、さすがに…」

みたいな。

「このスペースだと眠る場所がないな…そうだ、ロフトを付けよう!」

みたいな。

山の中にゼロから家を建てて行く臨場感満載の文章には、自ずと好奇心をくすぐられるものがあります。

こんな感じで単純に読み物として面白い本なのですが、

クスッと笑えるお話だけなのかというと、そうではありません。

高村さんは、小屋を建てる行程や実際に暮らす中で感じたことも文章にしてくれています。

既に記事が長くなっているのでこの部分は割愛しますが、

極限まで社会と距離を置いた生活をされているからこその俯瞰的な視点には考えさせられるものがありました。

正直、この本を読むまでは

「社会の中で大勢と暮らしていくのはしんどいし、山小屋で暮らすのめちゃくちゃ良いじゃん」

と思っていたのですが、

簡単に山小屋で暮らすといってもそこには無数の壁が存在すること、それを目の当たりにされている著者の姿を間近に感じることで、

率直に「これはこれで大変なんだ…」という思いになりました。

ひいては日頃、蛇口を捻ると当然のように水が出てきたり、スイッチを押すと当然のように電気がついたりするのはありがたいことなんだな…と、

当たり前が故に見過ごしていた部分に改めて目を向けることができました。

じゃあどんな方にオススメか…

というとニッチなテーマだけに難しいところではあるのですが、

・ここまでの文章を読んで少しでも興味を持った方

あるいは僕と同じように

社会で普通に暮らしていくのって結構しんどいよな…

と思っている方には何かしら参考になる本だと思います。

なにより単純に読み物として面白い本なので、気になる方は是非一度読んでみてください。

長文にお付き合い頂きありがとうございましたm(_ _)m

超主観的オススメ度 ★4.0


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