※未読の方を想定した【ネタバレなし】の感想になります。既にお読みの方は、こちらのネタバレあり版へお進み下さい。

ディーリア・オーエンズ(著)・友廣純(訳)『ザリガニの鳴くところ』早川書房 ☆ネタバレなし
2021年の本屋大賞で翻訳小説部分第1位に選ばれたことをきっかけに購入。
著者名や翻訳小説というワードからお察しの通り、この作品は元々海外で出版され、それが日本語訳されたものになります。
少し長いですが、あらすじはこんな感じです。
ノースカロライナ州の湿地で男の死体が発見された。人々は「湿地の少女」に疑いの目を向ける。
6歳で家族に見捨てられたときから、カイアはたったひとりで生きなければならなかった。読み書きを教えてくれた少年テイトに恋心を抱くが、彼は大学進学のため彼女を置いて去ってゆく。
以来、村の人々に「湿地の少女」と呼ばれ蔑まれながらも、彼女は生き物が自然のままに生きる「ザリガニの鳴くところ」へと思いをはせて静かに暮らしていた。
しかしあるとき、村の裕福な青年チェイスが彼女に近づく……
みずみずしい自然に抱かれた少女の人生が不審死事件と交錯するとき、物語は予想を超える結末へ──。
Amazon.co.jp 「BOOK」データベースより引用
僕は翻訳された小説を読むのが初めてだったので、これが翻訳小説ならではのものなのか、あるいはこの本ならではのものなのか判断は付きかねますが、
海外作品ならではの世界観に圧倒された
という感想を持ちました。
ひとつの文学作品でありながら、その中にはミステリーや社会学、生物学、人文学などあらゆる要素が組み合わさっており、
一言で表現するのが難しいほど壮大な物語でした。
どう説明してもネタバレになってしまいそうなのでこれ以上の言及はできませんが、
本屋大賞翻訳小説部門第1位
という評価にも納得できる作品であったことは間違いありません。
ただやはり翻訳版ということもあり、国内小説と比べるとどうしても読みにくさを感じてしまう部分もありました。
具体的には
・登場人物の呼び方が場面によって変わること(あるときはフルネーム、あるときはミス○○、またあるときは全く別の俗称など)
・同一場面において主語が入れ替わる、もしくは主語が示されない文章が稀に登場すること
・翻訳小説特有の表現ー例えばこんな感じで文の途中に注釈が入るーがあること
には最後まで馴染めませんでした…。
まあ、これに関しては僕が翻訳小説を読み慣れていないというのも大きいと思いますし、そもそも性質上仕方のないことではあるですが…。
実際、ネットのレビューでは「翻訳小説にしては読みやすかった」という声も多く見られますし、
なんだかんだ言いながら僕も最後まで読み切ることはできたので、海外作品デビューの一冊としてはむしろ適任なのかもしれません。
もちろん、普段から海外作品の翻訳版を読むことが多いと言う方には間違いない作品だと思います。
ということで、なんとも方向性がブレブレの記事になってしまいましたが、
もし気になる方は早川書房さんの公式noteで試し読みが公開されていますので、まずはそちらをご覧頂くと雰囲気がつかめると思います。
▽試し読みはこちら

ではでは、最後までお読み下さりありがとうございました。
超主観的オススメ度 ★3.0
★他にも小説の感想を多数投稿しています
・【感想/書評】町田そのこ(著)『52ヘルツのクジラたち』 ☆ネタバレなし
・【感想/書評】青山美智子(著)『お探し物は図書室まで』☆ネタバレなし
・【感想/書評】加藤シゲアキ(著)『オルタネート』☆ネタバレなし
などなど。
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