※内容にも言及した【ネタバレあり】の感想です。既にお読みの方、内容を知っても構わないという方のみお進み下さい。
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石持浅海(著)『君が護りたい人は』祥伝社ノン・ノベル ★ネタバレあり
さて。
これまでの作品と比べるとややあっさりした印象を抱いた作品でした。
もう一度あらすじをおさらいしておきましょう。
成富歩夏が両親を亡くして十年、後見人だった二十も年上の奥津悠斗と婚約した。高校時代から関係を迫られていたらしい。歩夏に想いを寄せる三原一輝は、奥津を殺して彼女を救い出すことを決意。三原は自らの意思を、奥津の友人で弁護士の芳野友晴に明かす。犯行の舞台は皆で行くキャンプ場。毒草、崖、焚き火、暗闇……三原は周到な罠を仕掛けていく。しかし完璧に見えた彼の計画は、ゲストとして参加した碓氷優佳によって狂い始める。見届け人を依頼された芳野の前で、二人の戦いが繰り広げられる――。
本書裏表紙より引用
改めて、あらすじから犯人バラしていくってすごい挑戦的ですよね。笑
さすが石持先生といったところです。
本作は率直に言うと起承転結すべてのパーツが小ぶりだったという印象でしたが、それもあってサクッと楽しむことができました。
それと、今回は優佳の特性についてしっかり言及されていた印象も受けました。
3〜5作目で特に強く浮かび上がってきた、
ただ綺麗な計画が見たい、その前後で誰かが命を落とすことになろうとどうだっていい
というような、ある種最もサイコパス説すらある部分が確定したような記述がありましたね。
そのほかの伏線や作中の人物のやりとりに隠されたトリックなどは比較的難易度低めだった気がするので、
(それとも見逃しているだけで物凄い高度な伏線があったり?あったら皆さん教えて下さい
)
解釈が分かれるとすればラストでしょうか。
それまでまったくと言っていいほどやりとりがなかったのに、ラストに向けて際立っていた優佳と芳野とのやりとり。
優佳の指摘によって、「まさか芳野まで…」という部分が浮き彫りになりました。
前置きとして「殺すことはない」と明言してはいるものの、意味深な内省をはさんで放たれる
「また、みんなでキャンプに行こう」
本書p.194より引用
はどう受け取ればいいのでしょう…笑
(とはいえ本心には抗えない。次のチャンスで奥津を…)なのか。
はたまた、(今回のことは事故だから気にするな。またみんなで楽しく…)なのか。
色んな受け取り方ができると思いますが、個人的には
思考実験とは言いつつ、その気になれば本当に殺せるような完璧な計画を立てて、その上で優佳にそれを阻止してほしいんじゃないかな…と思いました。
そういう意味での
「また、みんなでキャンプに行こう」
なのかなと。(いや、分からないですよ…!なんとなくですよ(^^;;)
それにしても、歩夏はそれほどまでに魅力的なんですね…。
小さい時から見てきた子だからこそ、より一層惹かれる部分があるのかな…なんて想像してみたり。
全体としては、前作で優佳にも劣らぬ頭のキレを披露していた小春に推理面での活躍がなかったところは少し予想外でした。(…これも見逃してるだけなのか…?(・・;))
あと、そもそも事の発端となった奥津・歩夏ペアの関係性の真相が、単純に歩夏側の純愛だったんだというところも意外といえば意外でしたね。
(もうちょっと複雑な何かがあるのかなと勝手に予想してました。)
今回は優佳の親友である小春側の交友関係を中心としたお話だったので、
もし次回作を期待していいのであれば、
やっぱり第1作に出てきたあのペンショングループ(ペンショングループ?笑)のその後、みたいな話が出てきてくれたら最高だな〜と思います。
というわけで、
そろそろ書くこともなくなってきたので、この辺で終わりにしようかと思います。
いつものごとく大した考察もできないただの雑談で申し訳ありません。
皆さんの感想や、ここの伏線見逃してるよーみたいなこともあれば是非教えて頂きたいです。
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ではでは、長文にお付き合い頂きましてありがとうございました。
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